養生の四寡、節制の七養

   思いを少なくして神(しん)を養い、欲を少なくして精を養い、飲食を少なくして胃を養い、言を少なくして気を養うべし。これ養生の四寡なり。



   節制の七養あり。是を守るべし。一には言を少なくして内気を養う。二には色欲を戒めて精気を養う。三には滋味を薄くいて、血気を養う。四には津液(しんえき・唾液)をのんで臓器を養う。五には怒りをおさえて、肝気を養う。六には飲食を節にして胃気を養う。七には思慮をすくなくして心気を養う。是寿親養老補遺に出でたり。



   [楽水の註] 恩師甲田先生は医者であったが、心のありようが体に深い影響を与えるということを絶えず説かれていた。クヨクヨと物事にとらわれるな、心を正しくもて、そして心の修養を説かれていた。その意味では宗教家でもあったのだ。また、少食こそ健康保持の要諦だと徹底的に教え込まれた。『体によいとなると、一気にはやり、沢山とればそれだけ利くと思って沢山一気に取る人があるが、そんなムサボリの気持ちでは病は治らない』ともおっしゃっていた。体に良いとなれば、早く良くなろうと思って、一息に沢山摂る人があるが、それでは却って健康をそこなってしまう。



   3年5年とかかってこんな病気になったのだから、気長に病を治すように心掛けないといけないとも仰せられていた。味わう可き言葉だと思っている。