真気を丹田にあつめる。

 臍下3寸を丹田と言う。陣間の動気ここにあり。難経(中国戦国時代、斉の医者秦越人の著書と伝えられている)に「臍下腎間の動気は、人の生命也。12経(解剖的には四肢の神経及び動脈の実際の走行とよく一致している、但し生理的には概念を異にしている)の根本也」といへり。是人身の命恨のある所也。養気の術つねに腰を正しくすえ、真気を丹田におさめあつめ、呼吸を静めてあらくせず、事にあたっては、胸中より微気をしばしば口に吐きだして、胸中に気をあつめずして、丹田に気をあつむべし。かくのごとくすれば、気のぼらず、むねさわがずして身に力あり。(後略) 


   [楽水の註]

   益軒先生の言葉はまだまだ続くのだが、要は臍下丹田に気をあつめ、人間万事そこを基本に生活せよと説いている。今の言葉でいえば、沈着豪胆というところか?人間生活の基盤に臍下丹田を唱えているところが、私は好きだ。