貧賤なる人も、道を楽しんで日を渡らば、大いなる幸いなり。しからば1日過ごす間も、その時刻永くして楽しみ多かるべし。いわんや、ひととせをすぐる間、四の時、おりおりの楽しみ、日々にきわまりなきをや。この如くにして年を多くかさねば、其の楽しみ長久にして、そのしるしは寿(いのちなが)かるべし。


    知者の楽しみ、仁者の寿(いのちながき)は、わが輩及がたしといえども、楽しみより寿(いのちながき)にいたれる次序は相似たるなるべし。


   [楽水の註]

   健康問題については、Aの説があると、大概その逆の説があるのは面白い。



   ”食べた後にすぐ横になって休むと牛になるゾ”と言って食後に横になることを戒める表現があると思うと、いまの医者の多くは食後横になることを奨めている状況だ。



  ”ナマの野菜が体に良い”と言う説があるかと思うと、”よく火を通した物を食べよ”と言う説がある。朝飯はヌケ、いや朝飯をしっかり食べないから、朝礼でぶっ倒れる生徒がいるのだ、サラリーマンなら仕事の能率が下がるのだ。などなど。 



   お互い一歩も引こうとしないから、健康問題の各論にはいると、その場の空気が険悪になることさえある。おかしいなあ・・・と私は思う。



   動物園の動物、そして自然界の動物は、大体物を食べた後は、先ほどの牛ではないが、休養しているのが多い。その意味では食後は休養が良いのであろう。



   だが、益軒先生は食後は歩け、なんなら、家の中でもよいから歩いた方が良いと言っている。胃弱の私も食後は歩いた方が、あとあとの気分がよいと思うのだが、やはりこれは少数派であろう。



   ところで、本日のテーマは日々、”人の役に立つ事をしなさいよ”、”日々を楽しく過ごしなさい”ということだが、これはまさか反論は無いであろう。精神的ストレスはもっとも健康保持に悪い。これより悪いことはないと私は思っている。