導引・按摩をしてはならぬとき(貝原益軒



 気のよくめぐりて、快きときに、導引・按摩すべからず。又、冬月按摩を忌むこと内経(中国最古の医書と言われている。)に見えたり。身を労働して、気上る病には、導引、按摩ともにあしし。


 ただ、身をしずかに動かし、歩行することは、四時ともによし。もっとも飯後によろし。湧泉(足心のすこし上にあたる)の穴をなずる事も四時ともによし。



益軒先生の記述の仕方は、現在の医学論文の発表形体に比較しても、少しも遜色がないことに私は驚くのである。彼は自分の説の論拠を古典をひもといて説明している。

 また、彼自身が病弱であったせいもあって、彼の論拠は彼の実践をとおして出てきた言葉であることがよく分かる。ただ、私自身は、健康法は各人各様、個人差が著しい。自分も行い、人の言も取り入れながら、しかも自分自身の健康法を見出し、それを淡々と正確に実施することが健康への道であると思う。



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