しくはっく・らくびらくちん(新)

   先日、近所のイトーヨーカドーに行って本屋の店頭で本を見ていたら、突如、本屋入り口の方角らしいところから、女の子の悲鳴とも泣き叫ぶ声とも聞こえる異常な声が聞こえてきた。



   やがてその声は、女の子の駄々をこねているような叫び声とも受け取れるとにかく現状への強い抵抗の叫び声だと判明。しかしその異常な声にも店の店員も他の客も比較的冷静なことが私には異常に思えたのである。



   本屋を出て騒ぎの方を見たら、どうやら小学校の高学年から中学2年生ぐらいまでの女児と覚しき子が、廊下に寝そべって駄々をこねている幼児の仕草そっくりで、自分の意志を押し通そうとしているかの如き観が見てとれた。その傍に母親らしい人が付き添っていたし、スーパーの警備員らしき人が数名きてその取り扱いにホトホト手を焼いている風情であったが、その母親の気持ちを思い遣るととても見ていられないので、私はその場からは遠ざかった。



   求不得苦(グフトクク:求めても得られぬ苦しみ)は、小は些細な物欲から大は有形無形のモノに対する所有欲といろいろであろう。人間の所有欲を充足することは実際上は不可能と言うべきであろう。そのコントロールは自律と言う以外無いのであるが、自律の訓練も至難と言う外はない。



   人はある意味において、自分を律する修練は生涯かけての精進ではないかと私は思っている。独り立ちする自立は出来ても、自分を律する自律は至難の道だが、人が真の意味で幸せになるためには自律の道を精進する以外ないであろうと私は思う。



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