池田重利公の御歌

七十三 さだまらぬ世はおもはすのこともあれば

        たのめたのますまたぬ夜そなき

         訳=無常のこの世は思わない出来事もあるから約束をしたしないに拘わらず、あなたを待たぬ夜はありませんでしたよ。

        註=たのめー頼りに思わせること。



七十四 我故の涙と月もおもはすは

        くもるうらみを身にやかへさむ

         訳=私の涙のせいで月に雲がかかっているかと思うと残念に思わないわけにはまいりません。あなたのお姿が見られないのも全く心残りなものでありますことよ。