池田重利公の御歌
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三十五、うき身をばさそふかせだになかりけり
おしまれてだにはなはちる世に
訳=辛い憂き世の身には誘ってくれる風だにありません。花ですら惜しまれて散っていると言うのに
三十六、思はじとおもふもものをおもふなり
おもはじとだに思はじやさ(ざ)は
訳=あなたのことを恋い慕うような思いをすまいと思うと一層のことあれこれと慕わしく思い出されます。思わないでおこうとこうして夜も寝ないで座っていますと。
※もものを=もも(百)ももにちに(千)の言があるがそのように読んだ方が良いかそれとも、思うも、ものを思うなりと続ける方がよいのであろうか?要研究
※やざ(夜座)=夜寝ないで座っていることと言う意味にとるか、あるいは(やさしい)の意味に取るかとるか?と言うところであるが、やさしいのいみに単に『やさ』と言う表現があるかどうか?現在の所そのような用法に出会わないから、ここでは夜座と取る方がよいか?