下村 大和  大兄

 今朝こんな手紙を I.さんから頂いたので
返事を出しました。

 兄にも言っていなかったこともあるので、メイルを
兄にもさせて頂くよ。重複は悪しからずお許しを。

***** I さんから頂いたお手紙 *****


> 清水  毅 さま
>
> 拝啓 明石は神功皇后の他にも、私の想像ですが、一ノ谷に近く源平合戦の、そして
> フィクションながら源氏物語の、それぞれ重要な舞台ですから、旧跡にはそれらに関
> する古文書が数多く残されていることでしょう。それに数年前の花火大会の事故、日
> 本標準時の子午線通過が私の明石にに関する知識です。阪神淡路大震災では地理的に
> 見て相当な被害があったと思われます。いまさらお見舞いではありませんが・・・

> 貴兄のHP、土の器のプロフィールによれば、1948年東京高師体育科をご卒業だ
> そうですが、だとすれば最近十段になられた柔道の醍醐敏郎氏と同期ぐらいではあり
> ませんか?彼は戦後のGHQによる日本武道抑圧の時期を乗り越え、戦後日本柔道を
> 復活させた功労者です。私は彼のファンでした。

> さて、私のHPですが、稚拙な作文はお恥ずかしい次第。記憶の断片を綴ることによ
> り、私と来し方をともにした人々を偲ぶよすがになっておりますが、他人に読んでい
> ただくには如何にもおこがましい。HPを開設した当初はURLを大いに宣伝したも
> のですが、今は自ら開いて楽しむもの、に方針を変えました。さりとて、不特定の方
> を拒むものではありませんが、名画のコレクションなどには後ろめたさがつきまとい
> ます。なにしろ、世界中の美術館から◯◯◯しているのですから・・・。

そのため、
> これらを’別室’と称するところに置き、自動スキャン検索エンジンをさけるように
> しています。別にこれで商売をするわけでなし、と勝手に決め込んでいますが、所詮
> 甘えに過ぎないかも知れません。

> 添付の音楽の形式はMIDIです。それ以外の形式はサイズが大きくなってどうしよ
> うもありません。ただし、ピアノ曲以外のヴァイオリン、オーケストラなどは聞くに
> 堪えないものになってしまいます。だから、添付音楽はピアノ曲に限っております。
>
> ただし、また、ただしですが、最近のフォーマット、プレイヤーのことはよくわかり
> ません。(MacではiPodとの連係があるようですが・・・)
> う〜ん、漢詩の詩作、および漢籍にくわしい(もしかして先生!?)のには敬服いた
> します。私も唐詩選のいくつかを愛誦しておりますが、もっぱら鑑賞にとどまってい
> ます。

> 文化勲章文化功労者の受賞者が発表されました。もちろん彼らの受賞に敬意を惜し
> むものではありませんが、受賞しょうが、しまいが、満足できる一技一芸を持って蓋
> 棺してもらえる人をことほぎたい。

> 諏訪根自子さんと小野アンナさんのこと、私が『本』として挙げた深田祐介さんの
> 『美貌なれ昭和』にくわしく載っています。ヴァイオリンの諏訪根自子、巖本真理、
> ピアノの原智恵子、安川加寿子、ソプラノの大谷冽子さん等は音楽に飢えた終戦直後
> の学生たちのアイドルでした。ハラペコだったがなつかしい。またしても『昭和の子』
> の感傷になってしまいました。呵々!
>
> --
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 私からこの方への返事


○○   大兄

 ○○さん、お便り有り難うございます。”有り難う”は
良い言葉ではありますが、一面通俗すぎて、今の私の気持ちを
充分には表現しておりません。

 プロフィールを読んで下さった由、本当に
有り難うございます。よくぞ読んで下さいました。
ハイ。一介のオジイサンに過ぎません。

 もうこの年、”メイルに心躍る”なんて言う表現は
いささか誇張の響きなしとは言い難いのだけれど
やはり『心躍る』兄からのメイルでした。

と言いつつも、さて何から話をしていいものやら、
思いつくままに、認知症候群顕著な頭、忘れぬうちに
片っ端から・・・、箇条書き。

1.ハイ、醍醐さんは私よりは一年上の大先輩です。
 すでに高師時代から抜群の方でありました。寡黙、
 沈着な方でした。
 高師は体一(体操)、体二(柔道)、そして体三と
 三部に分かれておりました。醍醐さんは勿論体二、
 私は体一でした。
 従って、在学中は特に交流はありませんでしたが、
 同じ、体育科でしたから、いろいろな機会にご一緒の
 ときはありましたでしょう。お名前は存じておりました。

  私は従って、体育の教師をしておりました。
 ある時、保健の学習で、『音』(聴覚)に関する講義で
 音域=>16scs/s-20.000scs/s などなどの説明が
 たまたま手にした、『初歩のラジオ講座』に詳述されていて、
 とりあえずは『音』の勉強、そしてついでに
 ラジオの項目を読んで、面白い!!(万事こんな調子で軽率?)

  エッツ?同調?、バリコン、コンデンサー??フムフム。
 鉱石ラジオ、3ペン、スーパー・・・・、ST、GT、MT、
 アマチュア無線、ダイポール、3ele_Yogi、 英語、ACC、
 トランジスター、IC、東京オリンピックアメリカ短期研修、
 帰国、大学、健康。退職、囲碁、農作業。

  なんだか、単語を羅列しただけで、私の人生が
 見えるようで底の浅いモノではあります。呵々
  
2.H.P.のこといろいろ
 a.実はいまも、あなたのH.P.を開きっぱなしで音楽を
 かけっぱなしでこのメイルを書いて居るんですよ。

 BGMに気に入った曲を流しながら、作業をするのが
 一番、私の至福の時でして、手紙、メイル、そして
 畑仕事もそんな風にしてするのが大好き。

 イヤホーンはいまは使いません。だから、戸外の仕事
にはどうもいまはうまくいきません。


 b.ちょいと失礼します。
 以下は私の中学時代からの佐賀の友からの
 メイルなんですが・・・・。(内は私の補足)
・・・・・・・・・
いつもは右側のページの日記のところだけしか見てないけど、
暇があったので左の項目をあちこちクリックしてみました。
(この友、毎日私の日記を見ては、無事を確認してくれております。)

「昭和の子」 なんだろう?と思い開いたら、しばらくして音楽が鳴り出したし
あれこれみてたらシューベルト菩提樹がなったり、

以前からページを開いたら音楽が流れるようなページを(貴君は)作りたいと
言ってたけど、実現したのかな。  (ハイ、手法は一応わかりました。)

どちらにしてもただ見てるよりも音楽つきのページは癒されます。
ステレオで入るといいけど、これだけでも充分。感想まで      Yより

(この友、音楽の指導主事=>校長で退職、いまはママさんコーラスの
 指導などを楽しんでいる。息子は東京在、アルト歌手で活躍中。)
(内はすべて私の補足)

 c.H.P.にあげる音楽の形式
  ○○さんは、**.mid 形式とのこと、ご教示深謝
 しております。私も1−2他の形式で試みましたが、
 サイズがベラボウになって話になりません。
 ヴァイオリンはやはりあなたも試みられたのですね。

  私は、自分が好きなモノですから、なんとか
 ならないか?今も夢はもっておりますが・・・・。
 現状では音楽ではなくて、音キチになりそうな
 騒音でしかない音で聞くに堪えられません。

3. 漢詩のこと、文化勲章文化功労者などなど

 漢詩の学習は、漢詩を読むために必要なワケでして、
その真似事をやっているに過ぎません。

 漢詩は色々と漢詩を組み立てる法則?というかきまりがあって、
その法則を知らないと漢詩を読むことは無理なようです。
だからといって、漢詩の法則だけ取り出して覚えるというのは無理で
できません。

 それで、自分でも作詞をしてみただけのことで、大した
ことはありませんです。

 ですが、この世界はこの世界で、それこそ命がけで
真剣に取り組んでいる人がおられて、つまり大学関係の
漢文学者などですが・・・・。この人達はスゴイです。
取り組む姿勢が全く異なります。

 もう、こんな人の書物を読むと、漢詩の歴史は古くて
膨大な量があり、しかもいわゆる漢語、その量の多さと
研究手法の間口を考えただけでも、気が遠くなるような話でして、
私などは入り口で退散です。
 どんな世界にでも、大変に卓抜した人がおられます。

 大工と言えば大工仕事、パッチワークと言えばパッチワーク、
書と言えば書、絵と言えば絵、音楽は勿論、それぞれに命がけで
その世界に没入した人がいて、また、その道にはその道で天才的な
才覚の持ち主が存在し・・・・・。凡人がなんぼ必死でやっても、
どうにもならない境地もまたあるものでして・・・・・・。

文化勲章文化功労者とはそんな方が受賞なさるので
ありましょうか?

 そんなこと今頃気づいたか?と笑われるようなことでもあるの
ですが、まあ、幾つになっても驚くことばかりです。
私の現状はそれこそ限りなく認知症に近いわけでして、
進歩云々以前の文字通り、80の手習いの漢詩です。

 話は違いますが、先日の佐賀旅行で、川上の神通寺という
寺で、かねて一度はみたいと思っていた副島種臣さんの書を
見せて頂きました。まあ、天才の字は、私等凡夫には難解
でした。

 ところがところがである今度漢詩の勉強をしてみたら、
やはり副島種臣さんの漢詩がでてきます。
ここでも非凡な才を現しておられます。

 明治の頃は、漢詩の勉強に多くの人が
時間を費やすというか、教養人としては必要な素養の一つ
だったようで、乃木希典森鴎外夏目漱石などなど多くの文人
軍人、そして政治家が漢詩をモノしておられます。

 そんな方々の書があちらこちらに沢山あって、
『これなんと読みまっしゃろうか?』と、言うことは多いですね。
まあ、そんなことでの勉強でして・・・・。

 僅か近々100年くらい前の文化遺産が読めない?
のもどうかな?という感じでして・・・。

 ハイ、この周辺は源平合戦場、福原、播磨風土記
中世の荘園制度、などなど古文書の宝庫?資料には
ことかきません。タダあのミミズ文字、悪戦苦闘です。

4.ピアノの原智恵子、安川加寿子
 懐かしい名前です。当時はピアノと言えば
井口基成一門が牛耳っていたように思います。
巌本、諏訪は小野アンナの弟子。

あの頃、おっしゃるとおりハラペコ
でしたね・・・。貧乏学生には、音楽会の切符
入手は高値の花でした。その乏しい乏しい
金の中から、無理算段の音楽会の切符。

 今でも音楽をナマで聞こうとするのは、可成りの
贅沢と言う感じが私は致します。(貧乏性でして)

 音楽会と言うと先般、千住真理子さんの
演奏を聴きに行ったら、演奏が終わる毎?というか
ときどき、『ブラボー』とやたらと叫ぶ連中がいて
いささか興ざめの感がありました。

 その興ざめの感慨をブチマケルところが無いのも
更に不愉快(当然)に拍車をかけた感じでした。呵々


5.深田祐介さんの『美貌なれ昭和』
 その本のことは存じあげておりません。そうですか?
 一度読んでみます。

  どこで、どんな書名の本か定かに記憶にありませんが、
 小野アンナさんのことは詳しく読みました。
  こんな悲しい事があるだろうか?と思った。
 ご主人の小野さんは立派ですが、時代が悪かった
 ですね。離婚後の小野氏の態度も立派です。

  小野家は素晴らしい。小野ヨウコは小野アンアナの
  姪。この方も素晴らしいのは私が言うほどでもなく
  周知のこと。

6.今朝の作詞
  
  秋日江行    秋の日に川を行く

断嶺西風一色秋  険しい山からの西風がきたら秋は深まる
寒衣投老憶曾遊  老いた体に素意をまとって昔遊んだことを思い出す
黄花白菊幽篁露  黄色や白の菊花、静かな竹藪に露
独坐渓辺裂石榴  谷川に独り坐して石榴を割って食べた

    平成18年10月29日作


冗長なメイルをこの辺で終わりとさせて
頂きます。

有り難うございました。

清水